医療情報男の日記

病院で医療情報システムの保守運用の仕事をしています。

小峰一雄氏「100年歯を失わない生き方」読了

 

日本の「ドックベスト療法」の第一人者である、歯科医師の小峰一雄先生の著書。

 

以前にテレビで、80代90代になっても健康な高齢者は歯も健康な人が多い、という番組を見てからというもの、からだ全体の健康と、歯の健康との因果関係が気になっていました。

そんなとき、たまたま書店でこの本を見つけ、前情報なしに購入しました。

 以下の4章構成となっています。

 

 

100年歯を失わない生き方

100年歯を失わない生き方

  • 作者:小峰 一雄
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

第1章 虫歯は削らなくても治る

 小峰先生は、歯科治療でよく行われる「削る」「抜く」「神経を抜く」という療法に対して異を唱えています。

先生が推奨しているのは「ドックベスト療法」

これは、「ドックベストセメント」というセメントを虫歯に詰めることで、殺菌しながら再石灰化をうながすというものです。

ja.wikipedia.org

ただ、保険診療対象外で、著者の小峰先生の歯科医院の場合、1回の治療費は1万円からだそうです。

 

第2章 多くの病気は虫歯が原因

「虫歯を予防することは、さまざまな病気を予防すること」

「虫歯は、さまざまな病気のサインであること」

「砂糖をとるのをやめれば、9割の虫歯は予防できる」

など。特に先生は、砂糖は歯に悪いだけでなく、あらゆる心身の病気、不調の原因となっていると主張しています。

 

また、歯の神経を抜くことで、象牙細管に細菌が侵入しやすくなり、その細菌が歯根膜から全身へと侵入し、いろいろな病気を引き起こす、という説があるそうです。しかも、どの歯の神経を抜くかで、細菌の流れていく場所が変わるとも言われています。

「上の前歯の神経を抜く → 腎臓の病気になる」

「下の小臼歯の神経を抜く → 生殖器の病気になる」

「奥歯の神経を抜く → 大腸の病気になる」

僕は20歳頃、上の前歯の神経を1本抜いているので、将来、腎臓の病気になるかもしれません。人工透析を受けながらの生活は嫌だな・・・。

 

歯磨き粉にも注意が必要とのこと。小峰先生は、「ラウリル硫酸ナトリウム」が含まれる歯磨き粉は避けるべき、と書いています。この成分は泡を立てるために使われているものですが、人体にとっては有害で、口内の粘膜からこの成分が吸収されると、肝機能障害やがんなどの病気の原因になるともいわれています。

 

第3章 歯も体も元気になる生活習慣

上記の「ドックベスト療法」をしても「酸性体質」の人は虫歯が治らないのだと、小峰先生は述べています。それは、自然治癒力が働いていないからだそうで、そのような人にはアルカリ性体質」の体にするためミネラルをたくさん摂取するよう勧めているそうです。そのミネラルの最たるものが、野菜と果物

特に、生野菜サラダを献立に取り入れ、食事のいちばん最初に食べるとよいそう。野菜から食べると、食物繊維がまず体内に入るので、糖の吸収が緩やかになります。血糖値の急上昇が抑えられ、虫歯予防にもつながるとのこと。

 

第4章 「生活の質」は歯で決まる

良い歯科医院の見分け方としては、次の三点を守っているところだそうです。

  • 削らない
  • 抜かない
  • 神経を抜かない

安易に削ったり、抜いたりを勧める場合、診療報酬が目当てだいう可能性があり、小峰先生はそういった医院を見抜く目を持つことが必要だと説いています。

先生が推奨する「ドックベスト療法」が日本で普及しない原因は、歯科業界の利害関係とも言われています。

確かに、もしドックベスト療法が虫歯治療に本当に有効だとしたら、虫歯の患者さんは減ります。そして患者さんが来なくなるので歯科医の診療報酬も減ることになります。製薬業界も、歯科医療機器業界も、活気がなくなります。

それならば、虫歯の部分を削って、詰め物を詰めて、様子見の状態にしたほうが、診療報酬を長く稼ぐことができるので、一理ありな話です。

 

最後に、小峰先生は「テレビやネットの情報を鵜呑みにせず、ある説を目にしたら、その反対意見を述べている情報にも目を通し、最終的に自分自身で判断せよ」と述べていました。

「この本に書かれていることも、鵜呑みにせず、正しいかどうかは自分で調べて自分で結論を出してください」という一文には驚かされました。これまで自ら書いてきた持論でさえ、あえて突き放すとは・・・。

しかし逆に、診療方針の自信の現れともとれました。

 

そうすると今度は、「ドックベスト療法は効果がない」「歯の健康と全身の健康は関連がない」という説にも目を通さないといけませんね。