医療情報男の日記

病院で医療情報システムの保守運用の仕事をしています。

クリスティーン・ボラス著「Think CIVILITY」読了

ジョージタウン大学のクリスティーンボラス准教授による著書で、夏目大氏翻訳の「Think CIVILITY」(シンク・シビリティ)を読了しました。

この本は、

  • 「職場に礼節を欠いた人がいることによる損失」
  • 「自分の礼節を良くする方法」
  • 「礼節ある組織になるためのノウハウ」
  • 「無礼な人に狙われた場合の対処法」


の四部構成となっています。



「職場に礼節を欠いた人がいることによる損失」

ボラス氏によると、
職場に誰かに無礼な態度をとられていると感じた人は、下記のような行為に出るとのこと。

  • 48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らす
  • 47%の人が、仕事にかける時間を意図的に減らす
  • 38%の人が、仕事の質を意図的に下げる

また、アメリカ心理学会の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは1年に5000億ドルにものぼるともあります。
この職場のストレスには、もちろん人間関係によるものも多分に存在するとも。

「自分の礼節を良くする方法」


  • 話し方や振る舞いで相手がどう感じ、どう改善してほしいかフィードバックをもらう。
  • 人の感情を読み取る訓練をする。

また、小説を読むことは、登場人物の感情を想像することが求められるので、人の感情を読む訓練にはちょうど良いそうです。

「礼節ある組織になるためのノウハウ」

ここでは、

  • 無礼な人を採用しないためのノウハウ
  • 採用する側も礼節の手本となるよう努力する
  • 礼節の高さも評価基準に組み入れる

などが、有効な手段とされています。

「無礼な人に狙われた場合の対処法」

  • メンター(よき師)の助けを得る
  • 食事、睡眠、運動、マインドフルネスを活用する
  • 仕事に意味を見出す
  • 社内外で良い人間関係を築く
  • 社外の活動で成功を目指す

ボラス氏自身の体験を挙げて強調していたことがあります。
無礼な人のから受けた傷や悩みは、もう「過去」のことであり、振り返るのをやめなければいけない。それよりも「未来」のこと、自分自身の成長のことを考えよう、とのことです。


この本の良いところは、具体的なエビデンスに基づいて論説を述べているところです。
「○○大学で○○という実験をしたところ、全体の○○%がこういう結果となった」という説明が、いたるところにあって、説得力のある内容だと感じました。


そして最後にボラス氏はこう問いかけています。
「あなたは今日会った人にどういう態度をとっただろうか。もしかしてあなたが当たり前だと思っている態度はすでに時代遅れかもしれない。あなたは周囲の人たちを元気づけているだろうか、それとも意気消沈させているだろうか。それをよく考えてみよう。」

今の常駐先は大手企業なのですが、「礼節を欠いた人は誰一人いない」ということに驚かされました。僕が言うのも何なのですが、皆、礼儀正しいのです。
これまではいくつかの医療機関に常駐していたのですが、無礼な人とまではいかなくても、少し接しにくい人は確かに居ました。敬語が全く使えない人、だれが挨拶しても反応がない人、など・・・。
そういう意味では、今の職場環境はとても働きやすく感じます。

逆に、自分自身の言動が相手に失礼となっていないかは、自分では分からないものです。
どこの常駐先に行ったとしても、無意識の言葉や態度によって、相手が無礼だと感じ、それがその人本人や組織の生産性を落とすこともあるのだということは、肝に銘じて改善していこうと思います。