医療情報男の日記

病院で医療情報システムの保守運用の仕事をしています。

院内SEが活躍したドラマ「病院の治しかた ~ドクター有原の挑戦」

病院のシステム担当者は、仕事柄、あまり表舞台に立つことはありません。それは医療ドラマの世界も同じで、医師や看護師のように、主役や重要な脇役で出ることが少ないように感じます。

 

しかし、2020年1月に放送された、小泉孝太郎氏主演のドラマ「病院の治しかた ~ドクター有原の挑戦」では、日の目を見ることがなかった院内システム担当(院内SE)が活躍していました。

 

金メダリストのスピードスケーター小平奈緒選手が所属している病院をモデルとしたこのドラマは、従来の医療ドラマとは雰囲気が異なります。

 

主人公の有原院長が、病院の資金繰りや院内の組織改革に奔走するという内容で、患者さんとの話は多くありません。むしろ、総務や経理といった事務職との絡みが多く、そんななかで院内SEも(ほんのわずかですが)活躍の場が与えられていました。

 

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院内SE役は、ラーメンズ片桐仁氏。有原総合病院の電算室に所属する、ただひとりのシステム担当者です。現実でもよくある設定ですね。見た目もそれっぽく設定されています(コラ)

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全7話のなかで、登場した場面は決して多くなかったのですが、そのなかでも重要な役割をはたしていました。

 

まず、医療器材データベースを独自に構築し、有原院長(話中ではまだ副院長)のコスト削減計画に大いに貢献しました。

 

次に有原院長は、周辺の医療機関から患者さんを紹介してもらい、退院後は元の医療機関に通院してもらうという、地域医療ネットワークシステムを構想します。そして院長からの指示で、膳場SE(片桐仁氏)は地域医療ネットワークのプラットフォームを構築しました。

 

最終話では、経営難に苦しむ有原院長に持ちかけられたM&Aの話に絡んできます。とある医療法人の傘下に入れば、経営を続けられるのですが、院長は決断を迫られます。そんななか膳場SEは、その医療法人の理事長が、海外資本を取り入れた自由診療による経営方針を掲げていることを、海外のネット記事から知ります。それは、有原総合病院が、高額な自由診療を受けられるお金持ちの患者さんだけを集める病院へと改造されてしまうことを意味していました。すぐさま膳場SEは院長にネット記事のことを伝え、M&Aの話は寸前のところで中止にできたのです。地域の患者さんに公平に医療サービスを提供したい有原院長とは、相容れない経営方針だったわけですね。

 

このドラマは、実話に基づいているおかげか、とても見ごたえのある面白い内容でした。「これまで洗浄・滅菌して使い回していた医療用チューブを、使い捨てのチューブに置き換え、皆の負担を減らします」と院長から聞いた看護部門が歓喜するくだりなんかは、リアリティがありました。

 

医師や看護師ばかりスポットが当たる日本ドラマですが、最近では放射線技師、薬剤師などが主役で活躍することが増えてきましたね。

このドラマのように、院内の事務職やシステム担当者のことも、もっとドラマでも扱ってほしいと思います。需要が少ないのかもしれませんが・・・。

 

モデルとなった相澤病院の書籍も、いつか読んでみようと想います。

 

患者に医療を取り戻せ 相澤孝夫の病院改革(増補新版)

患者に医療を取り戻せ 相澤孝夫の病院改革(増補新版)

  • 作者:塚本建三
  • 発売日: 2018/10/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)