時間外作業の管理・運用について。
今月まだ実働7日あるってのに、すでに残業時間が35時間。
同じく自社から出向している先輩は33時間。
ふたり合わせて68時間。
半端じゃないです。
うちの会社は、今の病院から業務委託をうけており、総勢100名近いスタッフが病院に出向(派遣)しています。
そのなかで、受付部隊やレセプト部隊、医療秘書部隊は自社のメディカル事業部、
僕と先輩は自社のシステム事業部です。
メディカル事業部とシステム事業部は、それぞれ病院から「この月はこの人数で何円で稼働してくださいね」という、要は委託料をいただいて、お仕事をもらっている立場なのです。
その委託料が自社の収入となり、そこから僕らの給料が発生するわけですが、それも僕らがあまりにも残業が多いと、会社側の取り分が少なくなり、営業利益が少なくなってしまいます。
今月のシステム事業部は、すでに営業利益目標を大きく下回り、事業部目標利益率20%だったのに対し、すでに利益率3.5%・・・。
つまり、ほとんど会社にお金が残らないということです。
ちなみにメディカル事業部は、先月の事業部目標利益率20%に対し実績利益率10%でした。
実際に現場でスタッフ管理をしている営業部長は、自社役員達から相当詰められているらしく、このままじゃアカン!ということで、ついに現場スタッフの残業全滅計画を発動させました。
僕と先輩には、月の委託料のリアル値を提示し、「君たち二人にこれだけのコストをかけているんだよ」と伝えたうえで、事業部利益目標を達成するために、それぞれの残業の原因分析と改善案を考えておくようにとのこと。
というわけで・・・
まず、残業の原因分析から。
①自社製システムの修正依頼に対する、自身のレスポンスの悪さ。
②稼働中の自社製システムの機能追加依頼を受けた際の、納期見積りの甘さ。
③新規開発のFileMakerプログラムの開発スキルが低いため、開発ペースが遅い。
④現場ユーザからの問い合わせ一件一件に対し、回答(作業完了)に至るまでの調査時間が長い。
⑤そもそも問い合わせの母数が多い。
⑥病院内の情報機器端末リプレース案件の準備。
⑦医師の持ち込み端末のインターネット接続設定やUSB貸与が突発的に発生する。
主な要因で絞るとこのくらいでしょうか。(まだたくさんありますが・・・。)
次に、分析と解決案です。
①自社製システムの修正依頼に対する、自身のレスポンスの悪さ。
<分析>
現在依頼を受けている修正案件は以下のひとつです。
・VBで開発された当直日誌システムで、過去に退職し、再度入職した医師の名前が表示されない。(同じ医師名のマスタが二つあり、古いほうのマスタ情報を拾おうとしているためのエラー) ※納期 今月中
これが当直事務さんからの依頼なのですが、源流は現場看護師さんです。当直事務さんいわく、似たようなエラーは過去にいくつかあったそうです(印刷のときだけ名前が消えたりするなど)。
本来はソースコードを修正し、利用者情報を正しく反映させたいところでしたが、僕自身のVB開発スキルが低いのと、当直事務さんから度々の催促を受けているのとで、かなり切羽詰っている案件です。
<解決案>
・ソースコード修正をひとまず保留し、該当医師の古いほうのマスタ情報にフィルターをかけて、プログラムがそのマスタ情報を拾わせないようにする。
応急処置的な対応ですが、今月これ以上この案件で残業するわけにはいきませんので・・・。
②稼働中の自社製システムの機能追加依頼を受けた際の、納期見積りの甘さ。
<分析>
現在、依頼を受けている機能追加の案件は以下の二つです。
A:自社VB開発の、会議室予約システムに、カレンダー形式の枠を設け、どの会議室が何時から何時まで予約が入っているかが月単位で把握できるようにしたい。また、毎週・毎月といった定型的な会議を一発で予約できる機能を追加したい。(総務課の依頼) ※納期 5月末まで
B:他院FileMaker開発の、産婦・新生児管理システムを、電子カルテのデータウェアハウスと接続し、患者ID、患者名、年齢が自動入力できる機能を追加してほしい。(産婦人科ドクターの依頼) ※納期 4月25日まで
A、Bともに、安請け合いしてしまったと後悔しています・・・。
特にA案件の依頼主である、某N氏には、ある機能を14日までに実装する約束を急きょ3日ほど前倒しされ、その日は終電過ぎまで残ってなんとか実装にこぎつけたという苦い経験があり、今回の納期も前倒しされないかと冷や冷やしています。
Bの案件については、この4月から着任された先生が、以前の病院で使われていたFileMakerの管理システムを、当院でも使いたいという依頼です。もともとは、FileMakerの互換性を合わせてほしいという依頼でした(前病院のFileMakerは拡張子「.fp5」で、当院のは「.fmp12」です)。
「患者情報の自動入力機能は必要だし、同じ機能はほかのFileMakerシステムのスクリプトでも動いているわけだから、それを参考にすれば大丈夫だろう」と、安易に考えていたため、Bの案件については、まだその産婦・新生児管理システムの中身も見ないまま承諾してしまいました。
せめてファイルを見て、データベースのテーブルやフィールド、スクリプトや関数の詳細を把握してから返答するべきでした。
(そもそも他院の開発製品の機能追加を、当社が無料で引き受けるというのもおかしな話ですが)
<解決案>
A:依頼主との打ち合わせを密に行い、納期の前倒しや機能実装項目の追加はひとまず受け付けない約束をする。勤務中はVBのソースコードを読み解き、勤務時間外はVB参考書やWEBサイトなどで勉強し、基礎を固めておく。5月の大型連休中にカレンダー機能と提携会議予約機能のひな形を構想し、連休明けからはコーディング作業に入れるように準備する。
B:データウェアハウスとの接続のためのSQL文は、課の先輩方に教えていただいて、なんとか納期に間に合いそうです。ありがとうございます。
A,Bともに言えることですが、このようなシステムの機能追加依頼については、まずは課に持ち帰り、先輩方と相談したうえで判断するのが正しい対応だったと思います。
それになにより、自身のプログラミングスキルの裁量を超える依頼を、納期を煮詰めずに提示していたことが最大の反省点です。
これも、まず残業ありきで対応しようとした僕自身の、自社へのコスト意識の薄さが招いた結果です。
③新規開発のFileMakerプログラムの開発スキルが低いため、開発ペースが遅い。
<分析>
現在の新規開発案件はひとつだけです。
・医療安全管理室から、血液・体液暴露報告書の管理システムを、FileMakerで新規開発する案件。 ※納期 5月中
現状としては、現場からはA4コピー紙一枚に、入力フォームやリストが書かれたイラストをもらっていますが、このFileMakerを触り始めて三週間での進捗は、ようやくイラストに近い入力フォームが7割ほど出来たものの、スクリプトや、テーブルを複数作成した際のリレーションシップの設定などが未だ実装できていません。
<解決案>
・ある程度のひな型ができた時点で、一度現場の依頼主と対面による打ち合わせをし、設計仕様を固める。
・システム導入後の運用の変更があり得るかを早い段階でヒアリングし、機能追加や仕様変更の依頼に柔軟に対応できる組み方を考え、そもそも仕様変更自体を受け付けないなど、のちの修正作業にかかるコストを軽減する。
④現場ユーザからの問い合わせ一件一件に対し、回答(作業完了)に至るまでの調査時間が長い。
これについては、まだ現在の電子カルテや医事会計システムの知識がないため、場数をこなせば回答のレスポンスも向上すると考えます。
また、緊急性の低い問い合わせについては、回答を待ってもらうのもひとつの手です。
⑤そもそも問い合わせの母数が多い。
問い合わせの中では、システムエラーではなく操作の問題だったという例や、他部門のほうが詳しい内容だったりと、うちの課が関わらなくても解決できるものも、少なからずあります。
そういった問い合わせの明確な担当切り分けが今後の課題です。
⑥病院内の情報機器端末リプレース案件の準備。
外部インターネットに接続していた現在のWindowsXP端末を、windows7端末に入れ替える案件が進行中です。
6月中には70台ほどのリプレースを完了させる予定です。
端末設置の際は、診療時間外でないと出来ない場合もあるので、残業も発生すると思います。
⑦医師の持ち込み端末のインターネット接続設定やUSB貸与が突発的に発生する。
数か月前から、主に医師からのインターネット接続依頼を受けていますが、現在までに何十件か完了しており、依頼数の分母は減ってはきています。
ただし、依頼が発生するタイミングが予想できず、どうしても定時を過ぎてからの依頼を受けることも。
長々と書き綴ってしまいましたが、要するに、
「通常の勤務時間中は、日々の問い合わせの対応に追われ、プログラム修正、新規開発に着手できるのがどうしても定時過ぎからになっている」
という点が原因ではないかと思います。
これらの点を解消し、残業をなくすには、
*問い合わせの対応時間を短くする。
*問い合わせの母数を減らす。
*問い合わせの回答を待ってもらう。
*プログラム修正や開発のスキルを上げ、コーディングのスピードを早くする。
といった点が上げられます。
それでもシステム事業部の営業利益目標20%の達成は現状では不可能です。
現場目標としては11%が妥当だと判断します。
それにしても、33歳にして実務でプログラミングすることになるとは思わなかったですね。
勉強が大変です。