医療情報男の日記

病院で医療情報システムの保守運用の仕事をしています。

病院の設備点検

毎年11月中旬の日曜日は、設備点検というイベントがあります。
つい先日、システム担当として、その設備点検に参加しました。

二年前も設備点検についての記事を書いています。
ijidansi.hateblo.jp


設備点検とは

その日は朝から夕方まで、病院内の電気の供給を止める、または院内発電機に切り替えて供給する、ということになります。院内の機能はほとんど失われているため、急患や手術も行わないようにしているのが通例。

ですが、電気供給を止めている間も、電子カルテやいくつかの部門システム、医事会計システムは使えるようにしています。
電子カルテサーバはじめ、主要なサーバ室は院内発電機に切り替えて運用ができるため、入院病棟の業務も大きな支障なく行なえます。

システム担当の役割

設備点検では、主に病院情報システムのサーバ、ネットワークといったインフラの電源死活管理クライアント端末の電源死活管理
また、外部ベンダーとのスケジュール調整、院内関連部署との協力作業も必要となります。

院内発電機による電源供給は全ての効きに行き渡るわけではありません。どのサーバ、ネットワークを活かすのか、どの端末を残すのかの選定が悩ましいところ。

クライアント端末全体のうち、7割ほどは、電源供給が止まります。病棟や救急センターの端末を優先的に電源供給対象とし、残りはシャットダウン。

「前日までに端末やプリンタ等の電源オフして帰って下さい」というアナウンスを、各部門にする必要があります。
そして、活かしておく端末を選定し、それらに対しては「使用可能端末」と書いた貼り紙を貼っていきます。

電子カルテや部門ベンダーへの事前連絡や、院内関連部門との事前打ち合わせも重要です。

当日の業務

今回は、システム担当4人。朝はみんな7時に集まってくれました。

7時半頃、各サーバ室の電源を院内発電機へ切替。サーバに接続しているUPSのおかげで、切替時も落ちることなく動きます。

病棟看護師に連絡し、まだ電源が入っている端末やプリンタは落としてもらうよう伝えます。

午前〜夕方までは、ひたすら待機。
残務処理を士たり、読んでいないメールを見たりして過ごしました。

夕方5時、サーバ室の電源が院内発電機から通常電源に切り替わり、院内の各施設も電気が復旧。

電子カルテから各部門へ正常にオーダが届くこと、医事会計システムの挙動に以上がないこと等が確認できたら、院内全体へ、端末やプリンタの電源投入可能、業務再開可能の連絡を入れます。

復旧後、やはりいくつかのトラブルが発生しました。それらの対応をひと通り終わらせて、時計を見てみると、もう19時半。

ひとまず無事にシステム復旧が終わり、皆で同時に退勤。

反省点

今回も大きな支障なく設備点検が終わりました。しかし、事前準備から事後対応までの一連のスケジュールを振り返ると、いくつかの反省点が出てきたのです。

  • 担当割り振りの甘さ

今回、4名のシステム担当のまとめ役を任されており、他の3名に、事前準備や当日の役割を依頼しました。ですが、特定の1人に多くの仕事を振ってしまい、残り2名にくらべ過剰に負担を与えてしまった結果となり、時には時間外作業で対応してもらうこともありました。3人に過不足なく作業を割り振れることができず、まだまだ自分はリーダーシップが未熟だと痛感。

  • 無用な障害通知メールが大量に届いてしまった

事前に通信担当ベンダに連絡するのを忘れており、設備点検当日、停電と復旧を繰り返すたびに、何十通もの障害通知メールが自動的に送られてしまい、受信メールボックスが大変なことに…
職場のメールを自分のスマホに転送する設定をしている人にとっては、うっとおしいこと山の如しだったでしょうね…

  • 監視モニタ端末の故障

集中治療室には監視カメラと、それらをモニタする端末があります。
今回の停電で、いきなり電源がバツンと落ちてしまったせいで、マザーボードが故障してしまいました。
事前にシャットダウンするよう通達できていればよかったのですが、見過ごしていました・・・。


  • 復旧後の動作確認

電源復旧後、4人で並行し、サーバやクライアント端末、プリンタ等の電源投入、各システムの動作確認を実施。ここでもやはり、3人への指示が適切ではなかったと思います。4人のなかでいちばん経験が長いということで、システムの動作確認の7割ほどを自分で行ってしまったわけです。配属半年の人、配属二ヶ月目の新人さんに、事前に各システムの詳細を伝え、彼らに確認作業を行うかたちが望ましかったなと、今になって反省しています。触ったことの無いシステムに触れる良い機会だったでしょうから・・・。


最後に


今回の設備点検、大きなトラブルもなく、比較的スムーズにタスクを消化できたと思います。やはり、過去のノウハウが蓄積されているので、毎年少しずつ改善できているんだなと思います。

僕は今まであまりリーダー役をしてこなかったので、色々と至らない点が見えてしまいました。
自分で仕事を抱え込まずに振っていけばよかったし、皆の進捗確認ももっと密に連絡をもらうべきでした。

今回の反省点を糧に、来年の設備点検業務をより良いものにしたいと思います。


(でも、来年の設備点検のときには、すでに異動になってるかも・・・?)